「オーストラリアは安全ですか?」
海外で生活する日本人から、よく聞かれる質問の一つです。
オーストラリアは、世界的に見れば比較的治安の良い国とされることが多いです。
しかし、日本で生活してきた感覚をそのまま持ち込んでよいかというと、そうではありません。
犯罪統計は、国によって分類、通報率、記録方法が異なります。
そのため、数字だけを単純に並べて「どちらが危険」と断定することはできません。
それでも、公的統計をもとに見ると、日本とオーストラリアの間に大きな差が見られる犯罪があります。
たとえば、強盗です。
2024年の Australian Bureau of Statistics の統計では、オーストラリアで警察に記録された強盗被害者数は11,496人でした。
一方、日本の2024年の強盗認知件数は1,370件でした。
単純な件数で見てもオーストラリアの方が多く、人口10万人あたりで見ると、日本の約40倍になります。
日本で生活していると、路上で強盗に遭う、バッグやスマートフォンを力ずくで奪われる、脅されて物を取られる、といった場面を日常的なリスクとして意識することは少ないかもしれません。
車に関する犯罪も、日本との違いが大きく出る分野です。
2024年、オーストラリアで警察に記録された車両盗難の被害者数は65,603人でした。
日本の同じ年の自動車盗の認知件数は6,080件です。
こちらも単純な件数で見てもオーストラリアの方が多く、人口あたりでは日本の約50倍に上ります。
日本では、自動車盗はかなり珍しい犯罪という感覚を持つ人も多いと思います。
しかし、オーストラリアでは、車両盗難は生活上の現実的なリスクです。
特に近年は、住宅に侵入して車の鍵を盗み、そのまま車を盗む手口も問題になっています。
つまり、車両盗難は「車だけの問題」ではありません。
家の鍵、車の鍵、ガレージ、玄関周り、夜間の施錠など、日常生活全体の防犯意識につながる問題です。
また、車上ねらい、つまり車内から物を盗まれる被害も、オーストラリアでは非常に身近な犯罪です。
ABSの被害調査では、2024–25年度に約23万6,500世帯が、車内から物を盗まれる被害を経験したと推計されています。
短時間の駐車でも、車内にバッグ、財布、パスポート、ノートパソコン、スマートフォン、買い物袋などを見える状態で置いておくことは避けることが大切です。
オーストラリアが「比較的安全な国」であることと、「日本と同じ治安感覚で生活してよい」ということは、同じではありません。
海外安全で大切なのは、現地の治安感覚に合わせて、自分の行動を少し変えることです。
夜間に一人で歩く場所を選ぶ。
車内に物を置かない。
バッグやスマートフォンから目を離さない。
家や車の鍵を見える場所に置かない。
慣れた場所でも油断しない。
こうした小さな行動の違いが、被害に遭うリスクを下げることにつながり、海外で安全に生活するための第一歩となります。
※本記事で参照した統計
・Australian Bureau of Statistics, Recorded Crime – Victims, 2024
・Australian Bureau of Statistics, Crime Victimisation, 2024–25
・警察庁「令和6年の刑法犯に関する統計資料」
・警察庁「自動車盗難等の発生状況について(令和6年)」
なお、犯罪統計は国によって分類、通報率、記録方法が異なるため、本記事では人口あたりの概算比較として整理しています。
